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修了生インタビュー vol.3

業界再編が本格化するドラッグストア市場で、地元企業ならではの価値を醸成。

1. これまでのご経歴を教えてください。

oike01l 光 株式会社(ドラッグひかりグループ) 取締役副社長 尾池勇紀さん
入学:2018年4月、修了:2020年3月

私の実家は、京都で「ドラッグひかり」という17店舗のドラッグストアグループを経営しています。現在は他界した前社長の父に代わり、母が社長を務めているため、学生時代から早く一人前になり母をサポートしたいという意思を強く持っていました。大学卒業後は、大手化粧品メーカーの営業として経験を積んだ後、25歳で実家が経営する光株式会社に入社。DBSに入学したのはその5年後、店頭で経験を重ね、店長業務を一通り経験した30歳のときでした。同族経営ですので、数年後の社長就任は既定路線でしたが、その一方で、店頭での対応スキルを高めるだけでは、グループを率いて大勢の社員を成功に導ける経営者になれるとは到底思えず、自分の限界を感じていたのです。そこで、社長就任から逆算し、「最短距離で経営者になる道を歩みたい」とMBA取得を決意しました。
当時の私は、自分自身の軸となる経営学を体系的に学びたいという思いが強く、また実践的な授業を選択すれば、失敗できる環境で「模擬的な経営者」として試行錯誤ができると考えました。また、経営者の家族という立場上、現場から率直な意見が届きにくい環境にいたため、利害関係のない先生やクラスメートにもまれ、自社の未来についてフラットに議論を交わしたいと思っていたのです。

2. DBS(同志社大学大学院ビジネス研究科)を選んだ理由を教えてください。

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他のビジネススクールとの比較検討を行う中で、DBSは上場企業向けの経営論に特化せず、地域の中小企業向けにカスタマイズした授業が多いことを知り、大変興味を持ちました。また、街中から近い立地にあり、図書館を24時間使用できる点も魅力に感じました。実際に入学後は、平日夜間の講義後、終電までの時間を予習・復習に当てていたのでとても役立ちましたね。また、研究科修了後も、在校生のサポートという役割のもと最新のビジネス教育を無償で受け続けることができる「シニアアシスタント制度」がある点も後押しになりました。2020年春に修了したばかりですが、早速活用しています。現在は副社長として人事制度の見直しを検討しているため、人的資源管理の講義を受講しています。DBSは各科目の発展系の授業がかなり充実しているのですが、現役時代にはすべてをカバーできません。また、一度受講した授業でも、5年後10年後に受けることでまったく違う学びがあると予測できるため、修了後の状況に合わせて、学びを深められる点が気に入っています。

3. 競争が激化するドラッグストア市場において、DBSでの学びはどのように役立っていますか?

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DBSでは基礎科目以外は、個々の経営課題に合わせてカリキュラムを組むことができます。私の場合は、まずは実直に「社長業はどんな仕事か?」を学ぶため、マネジメント系の科目であるリーダシップ論、組織マネジメント、組織変革などの履修を手厚くしました。加えて最新のマーケティング論や中小企業経営論、地域ブランド戦略を専門的に学ぶことで、業界再編が加速するマーケットの中で、ローカル企業である自社が生き抜くための活路を見出したいと考えました。当時、市場が急成長していた要因には、調剤薬局の併設による医薬品の収益増加、インバウンド需要に加え、食品の取り扱い強化による競争力増加がありました。食品展開は当社にとっても追い風でしたが、ともするとコモディティ化(同質化)や価格競争が進む可能性もはらんでいました。私はゼミの指導教授である山下貴子先生の下で学び、大手資本のストアとは一線を画す自社のポジショニングを見極め、価格に頼らない「独自の価値」を見出すことができたと自負しています。
私にとっての集大成が、修了要件であるソリューションレポート(SR)でした。「ドラッグストアにおけるストアロイヤリティ向上戦略」をテーマに、自社データに加え、データ会社を通じて取得したドラッグストア数十社のID-POSデータを解析。来店頻度の高い客層の購買行動と、地域密着型である自社の戦略を組み合わせることで、今後5〜10年の自社の成長を妨げる要因の洗い出しと、顧客満足度と来店頻度を高めるための品揃え戦略を結論としました。現在はSRをベースにした新戦略を展開していますが、大変うまく機能し、売り上げ増加に貢献しています。

4. DBSでの 2年間は、ご自身の人生にとってどんな意味を持っていますか?

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これまでの人生で最も厳しくも、充実した2年間だったと感じています。真摯に学業に励んだおかげで、自分自身と自社の未来について希望を持てるようになったことが一番の収穫ですね。もちろん何度も壁にぶち当たりましたけれど……。なかでも、講義で学んだ経営理論と、これまで少ない経験なりに自分で培ってきた手法が異なることが多く、そのギャップの正体を見極めて前に進むまでに時間を要しました。私が実践したのは、学んだ理論を自社でどのように応用するか、毎日徹底的に考え抜いたこと。クラスメートとの議論を通してその端緒が見えることもありましたが、最後は答えが出るまで自分自身で徹底的に悩み抜くしかありません。このトレーニングのおかげで、理論と自分の感覚をミックスしながら、より良い解を導き出す「思考力」が身についたと感じています。
現役時代は、かつてない物量の本や論文を読みました。課題が重なった時期は1日2冊、3冊はざらです(笑)。もちろん、漫然とただ読むのではなく、そこから自分にとって有益な情報を効率よく得る「インプット力」も鍛えられたと感じています。そしてもう一点、「相手に伝える力」も飛躍したと思います。どれだけ経営論を学び、SRを通して中長期的なソリューションを手に入れても、自社の従業員やお客さまに「伝わる言葉」に置き換えて伝えることができなければ、本末転倒です。各業界から集った精鋭でもある同級生や先生方を相手に、毎日のようにプレゼンやディスカッションを続けてきたことが実を結んだのだと感じています。

5. 出願を検討されている方へ。

DBSを修了した今の私は、自社の課題やビジョンについて明確に語ることができますが、入学前の私は、漠然と「社長になるにはどうしたらいいか?」という悩みを抱えていただけでした。ビジネス書を1冊も読んだことがありませんでしたし、勉強も得意ではなかったと思います。ですから、将来について悩んでいる次期経営者候補の方は、授業についていけるか心配な方がいても、勇気を出してチャレンジしてほしいと思います。DBSの先生方は各界のエキスパートでいらっしゃるにも関わらず、常に学生の立場を考えて、親身に向き合ってくださいます。授業で疑問を感じたら、臆せずにどんどん質問してみてください。そこから逃げずに一つずつ疑問をクリアにしていくことが、必ず皆さんの成長に繋がると信じています。

※本記事の内容、肩書き等は2020年9月当時のものです。