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修了生インタビュー vol.1

大学発ベンチャーの第2成長を支えたい!スキルを強化し、事務方から経営参画へ

1. 現在のお仕事とこれまでのご経歴を教えてください。

chiaki01r 株式会社幹細胞&デバイス研究所 経営管理室長
千秋園子さん
入学:2018年4月、修了:2020年3月

2014年に創設された京都大学発のベンチャー企業、株式会社幹細胞&デバイス研究所で、人事・会計・法務などの管理部門の責任者を務めています。前職で京都大学の産学連携事業や、若手研究者を支援する外郭団体のバックオフィス業務を手がけていたことから、立ち上げ時に声をかけられ入社しました。当社が扱う製品はiPS細胞の関連技術をベースに独自開発をした神経や骨格筋等の組織片デバイスです。新薬開発プロセスの効率化に寄与しており、一社員としても将来性に大いに期待しています。          
ビジネススクール進学を決めたのは創設4年目、わずか3名で始動した会社が徐々に成長して研究員も増え、15名程度まで規模を拡大した時期でした。少しずつ経営補佐的な業務を手がけるようになったのですが、これまでの知識や経験では十分に対応できないことが増え、もどかしい思いを抱えるようになりました。例えば、日々の経理はこなせても、財務会計や資金調達となると不確かなことが多くなるといった状況です。断片的な知識を線でつなぐような体系的な学びができれば、自信を持って成長中の企業を支えられるのではないかと考えました。

2. DBSで経営学を学んだことで、日々の業務にどんな変化が生まれましたか?

入学後の率直な感想としては、「もっと早くに学んでおけばよかった!」という思いにつきます。経営学の初歩から履修を始めたのですが、会計・監査から組織マネジメントまで、これまで経験則で理解していた管理業務が、実務でありながらも多くの研究がなされ、学問として成立していることに感動に近い思いを抱きました。理論やフレームワークを知ることで、これまで非効率な方法で行なっていた業務の整理ができ、より効率的・効果的に遂行できるようになったのです。また、企業の経営戦略についても学びを深めたことで、事業環境や自社の現状、新たな事業を創り出す方針などを客観的に見られるようになりました。

3. DBSではベンチャー企業に関しての学びも充実していましたか?

chiaki03l ゼミ合宿で発表中の千秋さん

はい、とても充実していたと思います。ゼミでは中小企業経営を専門とされている児玉俊洋先生に師事し、ベンチャー企業の成長戦略やベンチャーファイナンスについて、実務とアカデミックの両面から学ぶことができました。大手企業向けの経営論だけでなく、地域に根ざしたスタートアップや資本政策についてのカリキュラムが用意されていることも、DBSらしい特色だと感じています。
ソリューションレポート(他大学院の修士論文相当)は「大学発ベンチャー存続の課題:事業化進展に関する事例研究」をテーマにしました。研究開発型の大学発ベンチャーは現在2000社を越え、経済再生の担い手として注目されています。しかし一方で、一部の成功例を除き、近年は廃業件数が急増していることも事実です。既存研究はあるものの、その多くが設立前後の成長戦略に着目したものに過ぎません。そこで私は、設立後に一定期間が経過している企業を直接観察することで、研究成果の収益化への課題と対応策を見出したいと考えました。
自社および自社と似た環境にある大学発ベンチャー4社の経営者インタビューを通して見えてきたのは、独自技術が先端的であるほど、新しい市場の創出や開拓に時間を要し、計画通りに収益化できないケースが多いこと。状況次第では、必ずしも当初に設定した事業に固執せず、それまでに蓄えた業界知識や関連技術を応用し、実現可能性がより高い新たな事業への挑戦や転換をスムーズに行なっていくことが、事業化達成の鍵となるという結論を導きました。

4. 他のビジネススクールにない「DBSの魅力」があれば教えてください。

DBSの一番の魅力は、徹底した少人数制にあると思います。募集人員は毎年30名ほどで、先生方は学生一人ひとりをよく見てくださっていて、いつもきめ細やかな指導をしてくださいます。また、入学前は学生間の競争がバチバチと激しい様子を想像していたのですが、実際は全く異なっていました(笑)。少人数ゆえに仲間意識が強く、「みんなでがんばって修了しよう!」という和やかな雰囲気に包まれていたのです。私は人前で話すのが苦手なタイプで、最初は緊張してプレゼンテーションで失敗してしまうことも多々ありました。しかし、クラスメートの温かなフォローのおかげで、徐々に苦手意識を克服することができたように思います。
一方で、「少人数だから手を抜けない」という厳しい面もあったと思います。入学当初は、課題の多さはもちろん、どれだけ本や論文を読んでも理解が追いつかず、ショックを受けたこともありました(知識量や考察力が上がることで、徐々に読解スピードは上がりましたが)。仕事と両立するために私が意識したのは、課題提出に割く時間を決めて集中して取り組むことでした。とてもハードな生活でしたが、会社の創設以来、仕事ばかりの生活を送っていた私にとって、職場以外の環境で新しい刺激を得られることが本当に楽しく、精神的にはとても充実していました。

5. MBAを志す方へ。

chiaki05l

もしも、自分のキャリアでは不十分ではないか、学習を続けていく自信がないなど、進学について不安に思う方がいらしたら、オープンスクールに参加されてみてはいかがでしょうか。DBSは事務局の面倒見の良さも有名ですから、きっと親身になって相談に乗ってくれることと思います。または「科目等履修生」の制度を活用し、実際にいくつか授業を履修してから判断されてもよいと思います。
コロナ禍の影響はあるものの、ベンチャー企業は今後も、イノベーション創出の鍵として機能していくことと思います。当社のように少人数での創業も多いでしょうから、スタッフには起業家と同じ経営マインドを持つこと、日々変化する状況への対応力、財務や知財についての知識も求められることでしょう。企業規模に関わらず、経営マネジメントは全方位に対応しなければなりません。私はDBSで学んだことで、これまでの知識の体系的な整理ができた上に包括的な経営知識と戦略的思考が加わり、自分のキャリアへの迷いを払拭することができました。ベンチャー起業家と急成長する組織を支えるマネジメント人材の育成という観点でも、DBSの教育はきっと有益なものになることと思います。

※本記事の内容、肩書き等は2020年9月当時のものです。