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崔 裕眞

教授:崔 裕眞 (チェ ユージン)

崔 裕眞 (チェ ユージン)

生成AIの急速な普及は、今日の経営者にこれからいかに思考し、推論し、より高い付加価値を持つ独創的な知識を創造すべきかという根源的な問いを突きつけています。これにより、私たちは日々、深い省察を求められる緊迫した局面に立たされているのです。では、これからのAIと共存する時代に求められる「有能な経営者」には何が必要なのでしょうか。

それは「人間にしか持ち得ない、そして人間であるからこそ必要とされる」必然的能力を探究し続け、実践することです。知識創造理論の大家、野中郁次郎先生はこれを「本質直観」と力説されています。それは一過性の流行ではなく、不断の努力をもって「人間らしさ」を深化させ、「これぞ人間としか言いようがない」と究極な有り様を具現化するまで真摯に鍛錬し続けることに他なりません。今こそ、良心・倫理観・価値観を経営の中核に据え、すべての意思決定に内在する限定的合理性を受け入れつつ、その場その時に最も的確な判断を下す「本質直観」を体現するリーダーシップとイノベーションが求められる時代が到来しました。

同志社ビジネススクールでは、必須科目の「経営戦略」、展開科目の「京都の伝統産業と文化ビジネス」、専門科目の「ナレッジマネジメント」を担当しています。これら三つの科目は、単なる個別の講義ではなく、相互に有機的な連携を持つよう構想・設計されています。

「経営戦略」では、欧米的な思考法に偏ることなく、また日本的な観点のみに依拠するのでもなく、国内外の多様な視座を修得し、複眼的な思考と実践力の養成を目指します。「京都の伝統産業と文化ビジネス」では、京都の伝統産業を通して、日本の経営者がこれから生み出すべき真のオリジナリティの根源を探求します。そして「ナレッジマネジメント」では、知識の創造と共有のメカニズムを学び、推論能力と知識創造の実践力を高めることを目指します。このように、三科目は互いに補完し合いながら、受講者の知的成長と本質直観力を促す構成となっています。

専門ゼミでは、研究テーマの自由を最大限に尊重し、受講者の主体的な探究心を支援しますが、研究方法論においては質的研究(Qualitative Research)を一つの重要な柱と位置づけています。数値化が難しい現象や、数量データに還元できない「テクスト Text」としての定性データを深く考察する手法を修得し、より多様な現実の把握と分析を可能にする学びの場を提供しています。

私は、MBAをはじめとする複数の学問領域を横断的に学び、グローバルな経営実践と教学・研究活動の双方に携わってまいりました。この経験と知識を最大限に活かし、受講者の皆さんに唯一無二の学習と成長の機会を提供することをお約束します。ここでは、“学生と教員が一丸となり、互いに高め合う「共創の場」” が実現します。皆さんと共に新たな知の地平を切り拓くことを、私は心より楽しみにしています。

関連リンク

担当科目

ビジネス専攻

  • 京都伝統産業と文化ビジネス
  • ナレッジマネジメント
  • 戦略経営
  • プロジェクト基礎研究I・II

グローバル専攻

  • Strategic Management

専門分野

  • 知識創造
  • 経営戦略
  • 京都の伝統産業と文化ビジネス
  • 経営史と経営哲学
  • 質的研究

履歴等

英国ケンブリッジ大学PhD(経済史)、ケンブリッジ大学MPhil(経営学と歴史学)
英国ロンドン大学 MBA(経営戦略と国際経営)

アメリカ合衆国カリフォルニア州出身、早稲田大学政経学部卒業、日欧米韓でサムスングループ会長戦略秘書室(社内教育・産学連携担当)主任、英国ケンブリッジ大学の入学前高校生向け教育プログラム講師、2007年9月帰国後は一橋大学経済研究所外国人特別研究員(JSPS)およびイノベーション研究センター特任講師、2011年4月より立命館大学MOT大学院准教授・教授およびグローバルリベラルアーツ学部教授、2022年5月よりアメリカ合衆国の南カリフォリニア(USC)大学経営大学院の客員教授・上席研究員を経て2023年4月より現職。