修了生インタビュー vol.5
「生きた学び」を実感。研究を経営戦略に生かし、業績が大躍進!
1. 現在のお仕事とこれまでのご経歴を教えてください。
薬学系大学院で薬学修士を取得した後、京都市に本社を置く日本新薬株式会社に入社しました。日本新薬は中堅の製薬会社で、主に泌尿器科や難病・希少疾患などの専門領域に特化して新薬開発を手がけている会社です。私自身は入社後に新薬開発を手がけた後に、製品化までをリードする臨床開発を担当。その後、30代半ばで商品化された新薬の営業戦略を担うプロダクトマネージャー職につきました。同時期に、社内の「次世代リーダーシッププログラム研修」のメンバーに選ばれ、ミニMBA研修を受けたことがビジネススクール進学の契機となりました。営業部では、担当品目や部門単位での成績を意識した行動を取りがちですが、そうした組織のあり方と研究開発部門との連携がうまくリンクしていないことに疑問を感じ、組織改革の必要性を感じていたのです。
当初は他の大学やビジネススクールも検討していましたが、実践的なケースメソッドを重視していた候補校に比べ、DBS(同志社大学大学院ビジネス研究科)では基礎からの積み上げ式で理論と実践をバランス良く学べる点が、理系出身の自分には適していると感じました。希望に応じて、世界30カ国程度の学生が参加し、英語で全授業を行うグローバルコースの科目も受講できる点、大手企業の役員から中小企業の経営者、エンジニアまで、学生の幅が広い点も魅力に感じましたね。また、これは入学後に分かったことですが、国内外の論文データベースが充実している点も、私立大学ならではだと思いました。
2. 忙しいお仕事と学業をどのように両立されましたか?
DBS は社会人学生である受講生へのサポートが非常に手厚いという実感があります。入学当時の私は営業職としてマーケティングを中心に専攻していたのですが、途中で経営企画部の課長職に就任したため、専攻を経営戦略論に変えました。その際は先生や事務局から頼もしいフォローをいただきました。また、当初は標準年度の2年で修了する予定でしたが、異動により多忙になったため、途中で3年修了に切り替えました。私に限らず、入学後に会社内での職種や立場が変わる方も多いと思いますが、こうしたフレキシブルな選択肢が用意されているのもDBSならではだと感じています。
3. DBSの学びを通して得た、一番の収穫を教えてください。
長く研究開発畑を歩んできた私にとって、メーカーから金融業界、流通業界など、さまざまな業種で活躍し、異なる価値観を持つクラスメートと何度も議論を交わしたことで、多彩な視点で物事を考えられるようになりました。同時に、当時の自分が業界の慣習的な考えに染まっていたことに愕然としましたね。また、人材管理から会計、組織マネジメントまで、経営理論を総合的に学んだことで、組織内で問題が起きた時にも、冷静に状況判断や意思決定ができるようになりました。とはいえ、修了後すぐにあらゆる理論を使いこなせたわけでありません。トライアンドエラーを繰り返しながら、自分なりの経営理論を少しずつ磨き上げ、8年経った今、ようやくバランスよく運用できるようになった気がしています。
自分を最も成長させてくれたのは、ゼミ担当の北寿郎先生のご指導を受けながら書き上げた、ソリューションレポート(他大学院の修士論文相当)だと思います。自社に加え、業績を伸ばしている製薬メーカーの成長戦略を分析したのですが、一見すると投資額が高い大手企業が有利に見えるのですが、戦略を分解して見ていくと、中堅メーカーでも注力領域を絞り、経営資源を重点的に投入することで利益を上げていることが分かりました。私はDBS在籍当時から、自社の中長期経営計画の立案に携わってきましたが、他社が取り組まないような疾患治療薬に研究開発資源を投入することで、この10年で大幅な業績拡大を達成してきました。近年は売上高が1,000億円を超え、株価が10倍以上に上がる様子も目の当たりにしています。経営戦略の重要性や有効性を身を持って体感しています。
4. 他のビジネススクールにはない、DBSの特徴を教えてください。
修了生が無償で講義に参加し、最新のビジネス教育を受けられる「シニアアシスタント制度」が魅力だと思います。私も毎年、積極的に参加しています。異業種のビジネスパーソンと出会い、議論を交わすことで知的好奇心が刺激され、実務にも良い影響を与えてくれるのです。実はこの制度は、DBSの創立10周年記念イベントで行われたディベートで、私が参加したチームが提案した案がベースになっています。これを当時の研究科長の北先生のご尽力で制度化いただいたのです。この制度において、修了生はただのオブザーバーではなく、講義のファシリーテーターとして現役生を引っ張り、議論の活性化を担う存在で、現役生の良き相談役にもなっています。DBSは元々、先生方と学生の距離が近いアットホームな側面がありましたが、ここに歴代の修了生も参加することで、新しいネットワークが創出されたと自負しています。
5. 出願を検討されている方へ。
6期生である私はDBS創設期の修了生ですが、前述のシニアアシスタント制度やお世話になった先生方との交流を通じ、現在も最新の講義に参加しています。すると、カリキュラムデザインや授業内容が年々、進化していることが分かるのです。経営理論を実務に落とし込むための工夫も素晴らしいですね。現状に甘んじず、常に革新を求め続ける先生方のお姿は、正に理想の経営者そのもの。素晴らしい叡智が日々蓄積されているので、今から入学する方が羨ましいくらいです!(笑)。ぜひ存分に、DBSの「知」にふれていただきたいですね。
DBS出身の経営陣は、地元・京都や関西を中心にさまざまな分野で活躍されています。私の願いは、志の高い経営者と企業が地元でどんどん増えることで、京都の街や景気が活性化していくこと。さらには、国の経済再生にも寄与していきたいですね。私も経営に携わる一員として、新入生の皆さんと共に、地域経済を元気づけていきたいと思っています。
※本記事の内容、肩書き等は2020年9月当時のものです。