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修了生インタビュー vol.12

DBSで養った知識で可視化された、今後の経営の在り方

1. 経歴と現在の仕事

修了生インタビューvol.12_1  (106935) 上嶋 啓悟さん
入学:2020年4月 修了:2022年3月

私はウィーン国立歌劇場バレエ学校を卒業し、プロのバレエダンサーとしてドイツやルーマニアで活動していました。しかし、ルーマニアのバレエ団で活動している最中に体調を崩し、日本へ帰国することを余儀なくされました。その後は京都で家業の不動産業に従事したのですが、実務に携わる中でビジネスの基礎的な知識やスキルの重要性を感じ、経営について体系的に学びたいと思うようになりました。そこで入社4年目に同志社ビジネススクール(DBS)に入学して経営学を学び、修了後は不動産業の傍らバレエ団のダンサー兼マネージャーとしても活動しています。さらに、同志社大学大学院スポーツ健康科学研究科博士課程にも在籍し研究を続けています。

2. DBS入学の経緯

社会人になってからずっとバレエという芸術に専念していた私は、家業でビジネスに従事するようになってからも、それまでの経験や感覚に基づいた判断を下すことが多かったです。しかし不動産業の現場では、感覚だけでは通用しない厳しい現実に直面しました。日々の業務においては理論的な根拠に基づいた経営判断が求められる場面が多く、このままの自分では適切な判断ができず家業を成長させられないどころか衰退させてしまうのではないかという危機感を抱くようになりました。そこで自分の経営に対する考え方を一新し、将来的に実践的なビジネスモデルを築けるようになりたいと考え、DBSに入学してビジネスの理論を本格的に学ぶことを決意しました。

3. ソリューションレポート(SR)の内容と成果

修了生インタビューvol.12_2  (106936)

DBSでの学びの中で特に印象に残っているのがソリューションレポート(SR)の作成です。私は長年携わってきたバレエに焦点を当て、鑑賞者の「経験価値」がその行動にどのような影響を与えるのかを調査しました。実は最初、家業の不動産業をテーマにすることも考えていたのですが、自分の本質を見つめ直した結果、バレエとビジネスの両者を掛け合わせたテーマに挑戦することにしました。
このSRがきっかけで、人生の転機を迎えました。それは、SRの研究を進める中でバレエ団主催者との交流が深まり、再びバレエ団でダンサー兼マネージャーとしての活動を再開したことです。研究においては、バレエ鑑賞における顧客の経験価値を数値化し、過去の先行研究を元に独自のモデルを作成、その解決策を提示しました。この過程で得た知識は、現在の経営実務においても大きな支えとなっています。また、日本のバレエ団は厳しい経営状況に置かれていることが多いため、どのようにしてより多くの人々にバレエを鑑賞してもらうかが重要な課題です。日本ではバレエが稽古事として非常に普及しており、バレエ教室の生徒数は日本が世界一とも言われていますが、観劇においては他国と比べて後れを取っている現状があります。SRで行った分析の結果、費用対効果および時間帯効果の改善や、より身近な場所で公演を行うことが観客の興味を引く要素であることが明らかになりました。この知見を元に、例えばお寺やスタジオなど従来の劇場とは異なる場所でのバレエ公演を企画し、地域の子どもたちにバレエを近い距離で楽しんでもらうイベントを開催しました。このイベントは参加者からも演者からも非常に好評を博したのみならず、私自身も演者の一員として観客一人ひとりの反応を間近で感じ取ることができ、多くの新しい学びが得られました。

4. DBSでの学びと印象深い授業

修了生インタビューvol.12_3  (106937) 指導教員の山下先生と

DBSでは、マーケティングや組織マネジメント、中小企業経営など、幅広いビジネス領域を学びましたが、特に印象深かったのはゼミ指導教員でもあった山下先生のマーケティングの授業です。受講前に多くの本を読んではいたものの、頭の中で知識が整理されず全体像を掴めていない状態でした。しかしこの授業では、学んだ知識を次の授業で実際に活用し、それをさらに発展させていくという流れがカリキュラムに組み込まれており、理論と実践の繋がりを理解することができました。その結果、知識を他の理論と結びつけて応用する力が養われ、ビジネスの現場でどのように活用すべきかが次第に明確になっていきました。このプロセスを通じて、効率的なインプットとアウトプットの重要性を実感しました。
もう一つ印象深かった授業は、毎回京都に根付いた企業の経営者の方々を講師としてお招きする「京都の伝統産業と文化ビジネス」です。私自身も京都に拠点を置く企業で働いているため、地元の経営者がどのように時代の変化に対応しながら事業を運営してきたのかを学べるこの授業は非常に有意義でした。講師の方々の実体験を通じて、伝統を守りながらも革新を取り入れる難しさや工夫を知り、それを自分の企業経営にどのように活かすべきか、改めて深く考えるきっかけとなりました。

5. 入学を希望する方へのメッセージ

DBSには多様なバックグラウンドを持った方が集まり、年齢や職業、経歴に関係なく互いに刺激し合うことができます。私は元々バレエ一筋で生きてきたためビジネスの世界においては未知の領域が多くありました。しかしDBSで出会った同級生や先生方とのディスカッションや共同作業を通じて、新しい視点で物事を考える力を身につけることができたと思います。バレエダンサーの道だけを歩み続けていたら決して出会えなかったような人々との交流は、私にとって大きな財産です。DBSに興味のある方はぜひ、思い切って飛び込んでみてほしいと思います。多様な経験と知識を吸収し、未来の経営に必要なスキルを養う場として、DBSは最適です。

※本記事の内容、肩書き等は2024年10月時点のものです。
(取材 同志社学生新聞局)