修了生インタビュー vol.19
知財の枠を超えて経営へ ― DBSでの学びと実務への活用
1. DBSに入学した理由を教えてください
私は2004年に大手電機メーカーに新卒入社し、10年後に現在の積水化学工業株式会社に転職しました。キャリアとしては一貫して知財畑でしたが、転職を機に担当領域が広くなるとともに、経営へ積極的に関与する必要性が生じ、今までのように受け身で開発部門が生み出した技術を特許化するだけでなく、知財分析等を通して事業上のリスクを算定したり新規事業の立ち上げに貢献したりすることも求められるようになりました。このような変化を受けて、これまでの知的財産法に関する知識やスキルだけでは不十分であると感じ、経営を体系的に学び視野を広げるとともに、知識を実際の場面で活用するための知恵を身につける必要があると考えDBSで学ぶことを決意しました。
2. なぜDBSを選択したのですか
知財の世界では、法律の範囲内で仕事を進めることはもちろん、法律の枠を超えた倫理観や価値観に基づく判断も求められます。DBSが掲げる「良心教育」には、その点で強い親和性を感じました。また、DBSは社会人学生を積極的に受け入れるだけでなく、修了後もシニアアシスタント制度などを通じて現役学生とつながる機会が用意されています。学びを通じて築いた「つながり」が修了後も続いていく点に深く感銘を受け、入学を決めました。
3. DBSでの学びが実務に生きたこと
DBSでの学びを通じて、キャリアや仕事に対する価値観を再定義することができました。北先生の「オープンイノベーション」の授業では、具体的な実例を通じてイノベーションを学び、新規事業創出に必要な要素を体系的に理解することができました。また、藤原先生の「戦略的企業再生」の授業では、企業や組織が衰退する理由や、その再生に必要な理論を実例とともに学びました。特に、現場とトップの認識の乖離が組織衰退の一因となるケースを学び、現場の声を体系的に取りまとめて意思決定に生かすことが重要であると感じました。DBSで学んだことが実業務の中で完全に同じ形で起こることはありませんが、経営学的な理論を理解することによって、実際に生じた問題の特殊性を認識したり、あるいは問題を要素ごとに分解して体系的に課題を捉えたりすることができるようになり、実務の現場においても対応力の幅が広がったと思います。また私が参加した藤原ゼミでは、ソリューションレポートのテーマとして日本企業の知財戦略を取り上げ、特許の活用方法や知財管理の新たな方向性について議論しました。藤原先生の指導は、学生一人ひとりに寄り添い、押し付けることなく自然に考えを引き出す柔軟なスタイルで、研究を進めるうえで大きな助けとなりました。さらに、異業種から集まった同期生との交流は非常に刺激的で、自分の知識を外部から見直すきっかけとなり、幅広い視点で物事を捉える力を養うことができました。
4. どんな人にDBSに入学してほしいですか
志の高い人にぜひ入学してほしいと思います。DBSでは多くの知識を得られますが、重要なのはその知識をどう活かすか、そしてその根底に「良心」があるかどうかだと感じます。得た知識を自分のためだけでなく、世の中や他者のために役立てることができる人、誰かと一緒にその知識を共有し、新たな価値を創出できる人がこの場にふさわしいと思います。私自身もそのような人でありたいと常に思っています。
※本記事の内容、肩書き等は2024年12月時点のものです。
(取材 同志社学生新聞局)