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トピックス

MBAの学びを現場へ

2026年6月4日 更新

在学中にCVCの最前線で登壇

丸井直子さん (115571)

同志社大学大学院ビジネス研究科(DBS)修了生の丸井 直子さん(関西電力株式会社 イノベーション推進本部 マネジャー)が、在学中にスタートアップコミュニティのイベント「FLC Fes」に登壇した。「次の関西経済を誰が面倒を見るのか」をテーマに、ABCドリームベンチャーズの北田 淳氏、ダイキン工業CVC室の丸川 英也氏とともに壇上に立ち、CVC(※1)の実践者として議論の中心を担った。その議論がネット上で公開されているので紹介いたします。

「翻訳者」の不足を問題提起

丸井さんがセッションを通じて一貫して訴えたのが「翻訳者」の不足だ。技術と市場、スタートアップと事業会社、地域と地域――立場の違う者同士をつなぐ通訳役が関西には足りない。関西はディープテックの芽が出やすい土壌を持ちながら、それを事業へ結びつけるリソースにはまだ磨きしろがあると見立てた。この問題意識はキャリアの経験に裏打ちされている。メガバンクでの富裕層・法人営業からファイナンス実務、スタートアップ支援企画部署でのベンチャーファイナンスやファンド出資(※2)、そして2024年からの関西電力でのCVC投資と、異なる立場と文脈を渡り歩いてきた丸井さんにとって、「翻訳」はキャリアを貫くテーマでもある。

CVCに「両輪」を求める

議論はディープテック(※3)が直面する「資金が入った後の壁」にも及んだ。種銭を事業計画・資本政策・採用へ変換できる人材が地域には少なく、論文ベースの技術を投資家に伝わる言葉へ置き換える役割も不足している。丸井さんはこうした構造的な課題を受け、CVCの役割について明確な言葉で語った。「事業創出と資金提供の両輪が均等に回るべきだ」。片方だけでは地域のエコシステムは動かない。CVCが翻訳機能を組織の内側に実装し、人員を強化しながら拡張していく必要があるという認識だ。外からの刺激で伸びてきた関西が、ここからは内発的な成長へ移る局面に入っている――そう語る言葉には、現場で感じてきた切迫感と、MBAで体系化した構造認識の両方が重なって見えた。

学びと実務を同時進行で

登壇当時、丸井さんはDBSに在学中だった。日本証券アナリスト協会認定アナリスト、1級ファイナンシャル・プランニング技能士の資格を持ちながら、MBAで経営学をさらに深め、同時に関西電力でCVC投資の最前線に立つ。理論と実践を同時進行で走らせるその姿は、ビジネススクールが目指す学びのあり方をそのまま体現するものだった。「翻訳者を増やすことが関西経済の鍵だ」と語った丸井さん自身が、まさにその翻訳者であり続けている。

FLC Fes(Webサイト)

※1

CVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)
事業会社が自社の戦略目的のために設立・運営するベンチャー投資部門。財務リターンだけでなく、新技術の取り込みや新規事業の探索など、事業シナジーを重視した投資を行う点が独立系VCとの大きな違い。

※2

ファンド出資
複数の投資家から資金を集めて運用するファンド(投資組合)に対して出資すること。直接スタートアップに投資するのではなく、ファンドを通じて間接的に投資するため、分散投資や専門家への運用委託が可能になる。

※3

ディープテック
AI・バイオ・量子・素材など、大学や研究機関の基礎研究に根ざした技術を事業化するスタートアップの総称。社会へのインパクトが大きい一方、事業化までに長い時間と多額の資金を要する点が特徴。


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