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トピックス

DBS教員の共著ケースが『一橋ビジネスレビュー』に掲載

2026年8月7日 更新

森良弘教授・延岡健太郎特別客員教授の共著ケースが『一橋ビジネスレビュー』に掲載

「ほんまもん」を貫く経営は、なぜ世界を制するのか?

本ビジネス研究科長を務める森良弘教授と延岡健太郎特別客員教授による共著ビジネスケース「堀場製作所―マスフローコントローラによる半導体事業の躍進」が、一橋大学イノベーション研究センター編集・東洋経済新報社発行の学術誌『一橋ビジネスレビュー』2026年夏号(Vol.74 No.1、2026年6月15日発行)に掲載されました。本ケースは、京都市に本社を置く堀場製作所の半導体関連事業の成長を、「ほんまもん(※1)」というキーワードから読み解いたものです。

半導体製造を支えるMFC技術

本ケースが取り上げるのは、半導体製造装置に不可欠なガス流量制御機器「マスフローコントローラ(MFC ※2)」です。最先端半導体の製造では、極めて高い精度と信頼性をもってガスを制御する技術が求められます。堀場製作所は早くからこの分野に参入し、長年にわたり技術を磨き続けることで、世界市場における高い競争力を築いてきました。特に、難易度の高い「差圧式MFC(※3)」という技術に将来を見据えて挑戦し続けたことが、現在の半導体関連事業の躍進につながっています。

短期的成果に左右されない経営判断

本研究の意義は、単なる成功企業の紹介にとどまりません。不確実な市場環境の中で、短期的な成果だけに左右されない経営判断が、いかにして持続的な競争優位を生み出すのかを示している点にあります。京都企業らしい「ほんまもん」、すなわち独自の価値を徹底して追求する姿勢は、技術開発だけでなく、顧客との関係構築、供給力への投資、人財育成にまで一貫して表れています。

今後の展望

半導体産業は、AIやデジタル社会の進展とともに、今後さらに重要性を増していくことが予想されます。本ケースは、技術を軸に長期的な価値創造をめざす企業経営を考えるうえで、実務家・研究者・学生にとって多くの示唆を与えるものです。
DBSでは、今後も企業の現場に根ざした研究と教育を通じて、社会に貢献する知の発信を続けてまいります。

掲載情報

掲載号 『一橋ビジネスレビュー』2026年夏号(Vol.74 No.1)
特 集 知識創造のフロンティア―AI時代における人間らしさの価値
編集/発行 一橋大学イノベーション研究センター 編集 / 東洋経済新報社 発行
詳 細 一橋大学イノベーション研究センター(WEBサイト)
※1

「ほんまもん」
京都の方言で「本物」を意味する言葉です。本ケースでは、堀場製作所をはじめとする京都企業に共通する経営哲学として位置づけられており、流行や短期的な数字にとらわれず、独自の技術や価値を徹底して追求する姿勢を指します。同社が創業以来掲げてきた「正しくはかる」という価値観も、この「ほんまもん」の精神を体現するものであり、目先の利益よりも、長年磨き上げた技術力で顧客の信頼を積み重ねていくという経営姿勢を象徴しています。

※2

マスフローコントローラ(MFC:Mass Flow Controller)
気体の流量を高精度に制御する装置のことです。半導体の製造工程では、ウエハー上に極めて微細な回路を形成するため、使用するガスの量をきわめて正確にコントロールする必要があります。MFCはこの制御を担う中核部品であり、半導体の品質や歩留まりを大きく左右します。堀場製作所は世界に先駆けてこの分野に参入し、高い世界シェアを獲得してきました。

※3

差圧式MFC
ガスの流れによって生じる圧力差を利用して流量を測定・制御する方式のマスフローコントローラです。従来主流だった熱式に比べて構造が複雑で開発難易度が高い一方、より高精度かつ広範囲のガス流量制御が可能になるという利点があります。堀場製作所は、この技術的難易度の高さゆえに他社が参入をためらう中、将来の半導体微細化を見据えて早くから開発に取り組み、現在の競争優位につなげました。


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