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修了生インタビュー vol.28

理論と実務をつなぎ、組織を変える力へ -持続的な成長は信頼関係の構築から―

1. これまでの経歴とDBSに入った経緯を教えてください

修了生_vol.28_1  (121765) 川崎 未貴さん
入学:2023年4月 修了:2025年3月

私は大学を卒業後、ブライダル業界での営業・接客の仕事を経て、区役所で1年半ほど事務職として勤務しました。現在は、映像制作関連、具体的には撮影用の特殊機材の貸出やロケバスの運行などの事業を展開している会社で、労務・経理などの管理業務全般を担当しています。
同志社大学大学院ビジネス研究科(以下DBS)に入学するきっかけは、コロナウイルスの流行で在宅勤務をする中で「自分の中でなにかを変えたい」という衝動が芽生えたことです。
DBSは、前職で同僚だった方が在籍していたことから存在自体は知っており、その方からのアドバイスで科目履修制度を知りました。まずは慣れるために科目履修から始めてみようと思い、2021年にDBSの門を叩きましたが、当初は本入学まで考えていませんでした。しかし学びを重ねるうちに、それまで漠然としていた自組織の課題が次第に明確になっていく感覚がありました。
所属する会社は従業員数25名ほどの小規模な組織で、私は業務上、経営層と現場の両方の声を聞く機会があります。その中で、経営層の意思決定プロセスの不透明さや理不尽感、また上層部と現場の従業員との間にある認識の乖離を常々感じていました。こうした課題を、DBSでの学びを通じて整理し、解決の糸口を見つけたいと考えたことが、本入学を決意した大きな理由です。

2. DBSで学んだことやSRについて教えてください

DBSでは、理論だけでなく実務に直結する学びを得ることができました。
最初に受講した「中小企業経営」の授業では、株式会社の仕組みや歴史、先生の体験談を通じて“経営のリアル”を学びました。その中で資金管理の重要性を強く実感し、続いて受講した「コーポレートファイナンス」で、資金の動きを財務の視点から整理して理解することができました。
この二つの学びがつながったことが、自社の資金運用を見直す大きなきっかけとなり、現在も学びに沿った資金管理を心がけています。
また、リスクマネジメントの授業での「一度事故を経験したら、同じ事故がいつ起こっても対応できるように対策を講じなければならない」という先生の言葉が特に印象に残っています。実は昨年、自社で大きな事故が発生しました。この出来事を受けて、再発防止策と対応体制の整備を進めるために安全委員会を企画・立案する際、DBSでの学びを応用することができました。
ソリューションレポート(SR)では、心理的契約と強化学習理論をテーマに研究を行いました。心理的契約とは、労働契約において紙面上の取り決めだけでなく、企業と社員の間で暗黙的に交わされる“信頼や期待”といった心理的な契約関係を指す理論です。この心理的契約の概念に加え、強化学習理論を取り入れた分析手法を用い、インタビュー調査や、経営層と従業員の関係性や信頼の推移を検討するシミュレーション分析を行いました。このテーマの背景には、先ほど述べた自社における課題にあります。その現状を踏まえて研究を進めた結果、信頼関係の構築こそが組織を健全に機能させる上で最も重要であり、特にその前提となる「意思決定の透明性」や「認知ギャップの解消」が不可欠であるという結論を得ました。

3. DBSの魅力を教えてください

DBSの魅力は、出会いが多くあるところだと思います。他の企業や業界の人と話すと、自分の会社にはない考え方に触れることができ、自社内だけでは解決できなかったことに新しい視点を持ち込んで考えるきっかけにもなります。また、立場や経験、バックグラウンドの異なる人が多く集まるため、見ている景色の違う人々の話を聞けることもとても面白いと感じました。
ビジネスに対して課題を感じ、その解決の糸口を掴みたいと思っている人にとって、DBSは最適な学びの場だと思います。社長や経営層の人が多く学びに来ていますが、私のような一般社員クラスの人でも、学べることが沢山あります。様々な視点や価値観に触れることで、自分の持っている課題に対する見え方が変わり、異なる視点から解決の糸口を見つけることもできると思います。

4. DBSでの学びが実務に活きたことは何ですか

修了生_vol.28_2  (121766) ゼミ担当教授の藤原先生と

現在は、DBSで得た知識と洞察力を活かし、管理部門の立場から、経営層と現場を繋ぐコミュニケーションの場の構築に注力しています。具体的には、朝礼や月一回の部署を越えた報告会などを実施し、率直な意見交換ができる環境づくりを進めています。また、報告会の議事録作成を徹底し、アプリを活用した掲示板の運用にも取り組み、情報が偏らず共有される仕組みを試行しています。しかし、これらの取り組みはまだ道半ばであり、コミュニケーションのさらなる活性化が今後の課題です。
また、授業での多くの発表やグループワークを通じて、人前で論理的に話す訓練を積むことができました。会社ではデスクワークが中心であるため、非常に貴重な経験となりました。DBSで身に付けた「相手に伝わる資料の作り方」や「話し方」は、現在の会議資料やコミュニケーションの質の向上に活かされています。
加えて、技術職が多い職場であるため、ベテランが持つ「暗黙知」を、マニュアルなどの形で「形式知」として残し、後の世代に技術とノウハウを継承する取り組みも進めています。
この問題は私の所属する管理部門でも同様で、特定の人の知識に依存しがちな点や、「会社としてのノウハウ」が十分に蓄積されていない点が課題となっています。属人的なやり方から脱却し、組織として知識を共有し継承していく仕組みを整えることの重要性を、DBSでの学びを通じてあらためて実感しました。

5. 今後の展望について教えてください

今後は、DBSで得た理論と実務の間をつなぐ実践を進めていきたいと考えています。会社では、経営層と従業員が同じ目標に向かってモチベーション高く取り組めるような制度設計を行うことが重要だと感じています。
エンタメ業界では「やりがい」(モチベーション3.0)を求めて入社する従業員が多く、その内発的動機づけをいかに維持・強化するかが重要な課題です。従業員が長期的にそのモチベーションを保ち続けられるような制度や環境づくりに取り組んでいきたいと考えています。
DBSでの学びを土台に、エンターテインメントを通じて社会を明るく照らすことのできる企業を目指し、その基盤となる組織づくりを管理部門として支えながら築いていきたいです。

※本記事の内容、肩書き等は2025年10月時点のものです。
(取材 同志社学生新聞局)