以下、本文になります
オムロン基金研究プロジェクト(2012年度)
グローバル時代における企業のSRとビジネススクール教育の新展開を求めて:
(初年度事業として)(グローバルコンパクトを中心とし)日本・関西・京都からの国際的発信力の強化を目的とした、研究・教育のための企業連携、国際連携の構築
研究目的
背景
本プロジェクトの背景としては、以下のものがある。
- ①
- グローバル化の中で多国籍企業等の活動が活発化し、またグローバル化の「影」も問題になる中、グローバルコンパクト(以下GC)は国連の事務総長のイニシアティブのもとに、主に民間企業を巻き込む動きとして始められた。経営の10原則(環境、労働、人件、腐敗防止など)を推進する。日本企業も現在、300社以上がグローバルコンパクトジャパンネットワーク(GCJN)に参加しており、分科会活動も盛んである。今後は、活発な活動や日本のCSR独自の知恵を明文化し、国際的に発信していくことにより、日本ならではの貢献ができるだろうと言われている。
- ②
- 2011年、同志社大学はグローバルコンパクトに参加。日本の大規模総合大学としては一番乗りをあげた。大学の参加を受け、同志社大学のアカデミックな面からの貢献が、期待されている。しかし、現状では大学がGCメンバーとなって企業とどうタグを組んでいくかのモデルは存在していない。そこで、今後、大学―企業連携を深め、また、同志社大学(特にビジネススクールが)どういう形の貢献ができるのかを探っていく必要がある。
- ③
- 一方、国際的なトレンドとして、ビジネススクールの教育に、ビジネスの社会的責任を盛り込む方向に焦点が当たっている。その一例として、グローバルコンパクトの姉妹プロジェクトとして、国連主導の「責任あるマネジメント教育原則」(Principle of Responsible Management Education)があり、世界中の多くのビジネススクールが参加している。今後、いかにSRの教育をしていくのかが、DBSも含めて日本のビジネススクールに課された課題である。DBSは、そのミッションからもPREM参加に向け、文書の整備を行っており、この分野のさらなる強化をめざしている。
- ④
- アメリカにおいて、デンバー大学のビジネススクールは、極めてSRにフォーカスをあてたハイレベルの教育をしているということで特色をもつ。世界的にも、各種のビジネススクール教育・研究の指標において、この分野ではトップにランク付けされている。デンバー大の上記2名の研究者は、ビジネス教育の分野で、特に、有名である。Fukamiは2011年に来日し、下記AIMのRoman, Herrera、DBSの近藤とともに、国際会議でのビジネススクール教育に関する発表を行い、また、DBSでも国際セミナーを行った。このような活動に裏打ちされ、今後の協力を視野に、現在、DBSは、デンバー大ビジネススクールと提携を結ぶべく、担当者が来日するなど、話し合いが進行している。
- ⑤
- アジアにおいて、Asian Institute of Management (AIM) は、Asian CSR Forum(アジア最大のCSR会議、10年間にわたりアジア各国で毎年開催)を主宰している。上記4名のうち、RomanとHerreraは、この分野のリードファカルティである。また、DeJesus (President) は、フィリピンの元高等教育担当大臣であり、アジア大学学長会の会長を務め、Lim (Dean) は、2012年度アジア太平洋のビジネススクール連盟の副会長を務めるなど、両者はアジアにおけるビジネススクール教育の動向に詳しい。
- ⑥
- また、AIMと近藤の間では、AIMの所蔵するアジア各国のCSR事例をデーターベースとして整備し、DBSのウェブにあげて、日本企業の役にも立てるというプロジェクトの合意ができている。
- ⑦
- アールト大学は、教育世界一として名高いフィンランドのトップ大学であり、ヨーロッパの中でも、きわめてレベルの高い大学である。2012年上半期には、DBSと学生交換の提携を結ぶ予定である。この大学はデザインとビジネスを結び付ける学科をもち、そこでは新しい社会のデザインをも含む研究をしている。このような分野での、今後の研究の可能性を話に、リサーチディレクターが12年4月に京都へ来ることになっている。
- ⑧
- ドイツのトップ大学であるチュービンゲン大学とも、DBSは提携を結ぶ予定で基本合意されている。この大学では現在ビジネス倫理のセンターを立ち上げる予定で、2012年度内に、両校の研究協力へ向けての話し合いをすることになっている
目的
上記のような背景から、本プロジェクトは以下の目的で行う。
- ①
- GCJNとの連携を図り、ビジネススクールとして、企業との連携を深めるとともに、長期的に大学メンバーとして果たせる役割(研究、教育など)を模索する。
- ②
- ①の活動を通じて、日本を中心としたCSRの最新動向についての整理、研究を行う。
- ③
- 日本国内、そして、海外において、学会や国際会議を通じて、研究者、企業・実務家への発信を行う。(京都、アジア、欧米)
- ④
- アジアのCSRのデーターベースを整理し、日本とアジアを結ぶ。
- ⑤
- GCやPREMの精神にのっとったビジネス教育についての方法を研究する。
また、そのための、国際的ネットワークを構築する。
- ⑥
- 上記活動を通して、同志社大学ビジネススクールが、日本における国際的SR教育の一拠点として成長するための組織的、また知的な基盤を築く。