オムロン基金研究プロジェクト(2012年度)
大学発ベンチャー「京都カスタマイズ」の育成
研究目的
本プロジェクトのリーダー、村山裕三は2007年度に文部科学省の支援を受けて始められ、その後オムロン基金の助成を受けた「伝統産業グローバル革新塾」(「革新塾」)の塾長を務め、このプロジェクトを5年間にわたり主導してきた。「革新塾」の目的は、京都の伝統産業の若手経営者へのビジネス教育を通じて、次世代を担える伝統産業の経営者を育成し、これにより、京都の伝統産業を活性化させる点にあり、パリと東京での「京都の赤展」、京都・清水寺での「つたえる展」などの数々の実績を残した。この「革新塾」は5年の節目を迎え、その成果を「伝統産業から文化ビジネスへ:「伝統産業グローバル革新塾の5年間」(マリア書房、2012年2月発売予定)として取りまとめ、このプロジェクトに一つの区切りを付けた。
この「革新塾」を進める中で有望なビジネスの可能性として出てきたのが、「京都カスタマイズ」である。これは、企業向けにカスタム化したノベルティやギフト商品を開発し、伝統産業の技と素材を活かすことにより、今までになかった企業向け商品を開発しようとする試みである。2011年3月より、ウエッブを使ってビジネスを始めたところ、多くのオーダーが入り、まだ成約に至ったものはないものの、ビジネスの潜在性を感じられる展開となっている。
今回申請のプロジェクトでは、この「京都カスタマイズ」の経験と実績を踏まえて、これを大学発ベンチャーとして育成する方向に展開する。そして、この「京都カスタマイズ」を2013-14年をめどに大学の支援から切り離し、大学発ベンチャーとして自立経営のステージに移行させる。このために、ビジネスの体制作り、ウエッブでのビジネス展開の基礎作りなどの準備作業を行うのが、本プロジェクトの目的となる。
本プロジェクトは、京都の伝統産業から新たな文化ビジネスのベンチャー企業を生み出す試みであり、オムロン株式会社からの本基金の寄付の目的である「創業者の遺志として受け継いできた後続ベンチャー企業家の育成と産学連携の一層の強化を図る」という目的に合致すると考える。より具体的には、オムロン基金プロジェクトの(7)京都及び関西地域における産学連携、地域活性化等の推進、に合致したプロジェクトとなる。